沖縄美ら島財団の研究チームは、ホホジロザメの赤ちゃんが生まれた直後に「白い膜」に覆われている現象を解明。2023年、カリフォルニア沖で世界初となるホホジロザメの新生仔が目撃され、その体を覆う「白い膜」が注目を集めた。この膜は、当初考えられていた羊水成分ではなく、胎仔自身の皮膚であることが判明し、国際学術誌に論文として発表された。

研究では、ホホジロザメの近縁種であるネズミザメの胎仔を調査。結果、「白い膜」は胎仔の鱗を覆う追加の表皮であり、出産直後に剥がれ落ちることが明らかになった。これにより、ホホジロザメの出産後の生態に新たな知見が得られた。サメの鱗が硬く、胎仔の間は内側の組織を傷つけないように追加の皮膚で覆われているという進化的な仕組みが存在。

この研究成果は、ホホジロザメの繁殖生態における未解明の部分に新たな光を当てるもので、Environmental Biology of Fishes誌に掲載。研究チームの発見は、ホホジロザメの保護や理解に重要な貢献を果たしている。研究リーダーの冨田武照氏は、サメの機能形態学の専門家として、今後もホホジロザメの研究を続ける予定。