沖縄美ら海水族館が、世界で初めてホシカイワリの繁殖に成功しました。繁殖された稚魚4個体は、「サンゴ礁への旅 個水槽」で展示が始まっており、水族館の新たな見どころとして注目を集めています。

ホシカイワリは、琉球列島からインド洋・西太平洋にかけて分布するアジの仲間で、成魚は最大70cmにもなる食用魚です。沖縄美ら海水族館ではこれまでも成魚を展示しており、産卵の様子も確認されていましたが、今回の繁殖は飼育環境の工夫と試行錯誤の積み重ねによる成果です。

特に注目されたのは、エビと同じ甲殻類に分類される“カイアシ類(コペポーダ)”を初期餌料として用いた点。稚魚の成長に適した条件を見つけ出したことで、無事に孵化・育成に成功しました。
現在展示中の稚魚は全長約5cmで、成魚に比べて丸みを帯びた体型が特徴です。名前の由来となる黄色〜金色の星状斑点はまだ現れておらず、暗い横帯がわずかに見られる程度とのこと。
沖縄美ら海水族館では今後も本種の繁殖研究を継続し、水産資源としての持続的な活用や保全への貢献を目指すとしています。同館は、沖縄の海の多様性を伝える施設として、貴重な生物の繁殖や研究にも積極的に取り組んでおり、今回の成功はその理念を象徴する取り組みといえるでしょう。